本杢古墳と入間川旧河道~文書館で学ぶ埼玉「地形から読み解く桜区の歴史」より~

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本杢古墳~さいたま市最高地点~

桜図書館で開催されたさいたま市の市民講座「文書館で学ぶ埼玉・地形から読み解く桜区の歴史」に参加し本杢古墳を知りました。
そこで教えてもらった事を備忘録のように書き留めておきます。

本杢古墳はさいたま市桜区中島2丁目の住宅地内にある古墳です。

この緑地は車でロヂャース浦和店に行く時に通る裏道沿いにあるのですが、ずっとただの公園だと思っていました。

土合古墳群の中のひとつで7世紀前半のものといわれています。
現在は北と東が道路で削り取られており、残っている墳丘は「中島本杢緑地」内に保存されています。
上記写真の丘の部分が墳丘。
実はこの古墳はさいたま市内の最高地点である海抜19.5mだそうです。
入間川旧河道沿いに作られた古墳です。

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入間川旧河道

桜図書館 市民講座「文書館で学ぶ埼玉・地形から読み解く桜区の歴史」より

何よりも驚いたのが、この旧河道が入間川であるということです。
なぜならばこの旧河道は荒川の旧河道だと思っていたからです。
現在の荒川の位置にほど近いので勝手にそう思っていました。
調べてみると江戸時代に瀬替えされた荒川は入間川の旧河道より東側、さらに旧中山道よりも東側を流れていました。
そして旧河道を辿ると水路になっていたりするようで、それもまた新鮮な驚きです。

さきほどこの古墳はさいたま市の最高地点と記述しましたが古墳を川沿いの見晴しの良い場所に作る理由は、他の地域から来る人が川を渡る前に「ここにはこんなすごい古墳を作れる権力者がいるんだぞ」ということを知らせるためだそう。

こんな古墳を作れる強い権力者がいるから外から入ってきて悪いことするなよ!
的なアレでしょうか。

その点さいたま市内の最高地点にある本杢古墳はおあつらえ向きな場所に作ったと言えるのではないでしょうか。
しかし道路や住宅によって無残にも削り取られ、もはや墳丘しか残存していない古墳には哀愁すら漂っています。
この古墳を作った権力者は今の姿を想像だにしていなかったでしょう。
わたしのお墓はなくていいかな、永代供養でいいかな、と改めて感じさせてくれました。

いずれにせよ古墳が権力の象徴であることは知っていましたが古墳を作る地形により、虎の威を借る狐の如くの効果を付加していたという視点で見たことがなかったのでちょっと新鮮でした。
なんなら古墳は平坦で作りやすい場所に作ってる、くらいに思っていました。
人と河川の歴史は深く古いものということがわかります。

『本杢古墳があるこの場所は、大宮台地とよばれる洪積台地の西端にあたり荒川の低地を望む台地の緑辺部になります。』
と書いてあります。
入間川の旧河道の地図のオレンジ色の部分が大宮台地です。
地図を見るとたしかに本杢古墳は大宮台地の西端にあたります。

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大宮台地の西端

古墳から東側を見ると、東側との高低差は2mくらいです。
階段にすると10段です。

古墳から西側を見ると、首都高大宮線が見えます。

首都高大宮線をアップにしました。
さいたま市内最高地点を誇る場所なのですが、木々が支障になり開けた眺望は望めません。

西側には42段の階段があります。
東西の高低差がかなりある場所です。
この古墳が位置する場所が大宮台地の西端であることが高低差の理由でしょう

西側に降りて本杢古墳を見上げています。

土留めされている上の土地は住宅があったようですが、現在は取り壊されています。
本杢古墳の北側にあたります。

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古墳の南側に共同住宅建設中

2023年3月現在、本杢古墳の南側では13階建ての共同住宅を建設中です。
この場所はもともと4階建ての低層の共同住宅があった場所です。

古墳の緑地内で茶トラの猫が日向ぼっこしていました。
とても気持ちよさそうだったので、もうすぐ日影になってしまうんだよ、と言えずにそっとその場を離れました。
時代の趨勢とはいえかつてはこの地域での権力を示していたものが日影になるとは・・・もののあわれを感じます。

在りし日の古墳に思いを巡らせる

残念ながら、入間川の旧河道の右岸あたりから本杢古墳の方を見ても、首都高大宮線が支障になり本杢古墳は見えません。
大宮台地から下った首都高大宮線の下あたりから本杢古墳を見ても、住宅地などの建造物が支障になり本杢古墳は見えません。
しかし、ロヂャース浦和店の南側の第三駐車場付近からは、わずかに古墳の緑地内の木々の頭が見えます。(赤で囲んだ部分に本杢古墳があります)

旧河道と古墳がある大宮台地などの位置関係と地形を踏まえて、7世紀初頭の人が入間川旧河道の対岸から仰ぎ見た古墳の姿に想像を巡らせるのも面白いかもしれないですね。

埼玉県立文書館の市民講座は暮らしの中にある地形から過去を紐解いていくとても興味深いものでした。
次回はどのようなテーマになるかわかりませんが、開催される時は是非参加したいです。

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